出発点

昔のこと


2000年に専門学校を卒業しインテリアデザインを仕事に選び、

その仕事を選んだ事に後悔はなく、自分にとってはなんとなくこれしかない、

今のところ他の仕事は考えられないと思う程すぐに進路が決まった。


今でも鮮明に覚えているのは、ある時仕事に酷く疲れ、胃潰瘍になり仕事に対するストレスを抱えていた時、ふと入ったデパートのインテリア売り場で出会った、イタリアのAlessi社の愛嬌のあるカラフルな雑貨。

この雑貨を手に取り、はじめて見た時の興奮や癒しは、今も鮮明に記憶に残っている。彼女(今の妻)と毎週のように一緒によく見に出かけ心をトキメかせていた。


生活に必要ではない道具から得られる喜びや満足感、そして安らぎや癒しのような幸福感は決して科学などでは解明できない

人間が持っている特別な感性や感情だと思ったのを覚えている。

私はその時、モノから得られる幸福感や可能性を感じたのだと思う。


会社務めをしながらクライアントからの仕事は、決して達成感の得られるような毎日ではなかった。退社しフリーで仕事をするようになったが似たような毎日だった。


そんな時は、仕事をしながらストレス解消のように手帳やメモに、小さな雑貨のデザインやアイデアを書き留める、いつか形になるのではないだろうか、楽しいアイデアやユニークなコンセプトだから商品になったら売れるかもしれない、まるで夢を見るように空想のような事を続けていた。


そのうち誰かが、どこかの人が偶然にも現れて、この陽の目を見ないモノが現実となる日がくるような、根拠のない期待を待っていたような気がする。

(2000-2010年くらいの事)